不振の連続ドラマに1月の放送開始以来、6週連続で視聴率が25%を突破し、平均視聴率は26.7%という救世主が現れた。現在放送中の連続ドラマで20%台は、この「ごくせん」だけ。連続ドラマとしては8クール(4半期)ぶりの高視聴率となっている。(視聴率は関東地区、ビデオリサーチ調べ)
このドラマは雑誌「YOU」に連載中の森本梢子の同名漫画が原作となっている。
主人公は仲間由紀恵が演じる私立高校の数学教師、山口久美子。通称ヤンクミである。ヤンクミは、不良の男子生徒が集まる3年生クラスの担任で、眼鏡をかけ、長い髪を無造作に束ね、ジャージー姿で教壇に立つ。
生真面な先生だが、生徒のトラブルを知ると、眼鏡と無造作に束ねた髪をほどし、髪を振り乱し、べらんめえ口調にひょう変する。「大事な教え子見捨てて逃げるセンコーがどこにいる」「教師が生徒信じて何が悪い」と啖呵を切り、粗暴な男たちを力でねじ伏せる。どうやら、ヤクザの親分である祖父譲りの義侠心が目覚めるためのようだ。
連続ドラマ、学園ものドラマがあまり好きではなく、ほとんど見たことがない私だが、あまりの人気ぶりに一度は見ておこうとチャンネルを合わせた。
いやぁ〜、面白い! とにかく、スカッ!とするのである。
昔、水戸黄門にハマっていた頃を思い出してしまった。
深刻な問題を一気に解決するヤンクミの姿が実に痛快で、勧善懲悪の学園版・水戸黄門のようなつくりで、見た後に爽快感が残る。毎回お定まりの大団円が人気の秘密なのかもしれない。
人気の秘密は内容だけではない。連続ドラマのターゲットは女性の場合が多い。そんな女性の行動様式が変化して、平日の夜に毎週続けてテレビを見る層が減ったことが、近年の連続ドラマ不振の一因ととらえた点にあると思う。
だからこそ、前週の放送を見ていなくても話の内容がつかめ、その回で結論がでる一話完結。休日前の解放感があり気楽に見られる土曜日の夜に放送しているのだろう。
視聴者が求める内容だけを打ち出してもヒットは生まれにくくなった。内容をどんな形で、いつ出すか、というところまでしっかり考えて打ち出さないとヒットにはつながらない。単純明快なものが受け入れられやすいが、それをヒットさせるには、いろいろな要素を絡ませていかないといけない。それらがすべて上手く絡み合ったときにヒットが生まれる。
ドラマの世界だけではない。ひとつの要素だけにとらわれるのではなく、他の要素とも絡み合わせることでヒットするものを生み出すことができるのではないかな〜、と思うのである。
おまけ・・・・・
学園ドラマのヒットとしては、1998年に反町隆史と松嶋菜々子が共演した「GTO」以来のヒットが「ごくせん」である。
そこで、ちょ〜っと学園ドラマの流れを振り返ってみましょう。
時代の流れが見えてくるかも・・・。
【高度成長期の60〜70年代前半】・・・熱血教師時代
「青春」がキーワード。スポーツなどを通じて熱血漢の教師が生徒を引っ張り、夢を語る姿を描いた。
・1965年「青春とはなんだ」(夏木陽介)
・ 66年「これが青春だ」(竜雷太)
・ 72年「飛び出せ!青春」(村野武範)
・1978年「熱中時代 ゆうひが丘の総理大臣」(水谷豊・中村雅俊)
【70年代後半から】・・・悩める教師時代
校内暴力やいじめが問題になり、様々な学校問題をリアルに描き、生徒と共に悩みながら問題に立ち向かう教師が共感を集めた。
・1979年「3年B組金八先生」(武田鉄也)
・ 84年「スクール★ウォーズ」(山下真司)
・ 89年「はいすくーる落書」(斉藤由貴)
・ 93年「高校教師」(真田広之)
【90年代後半から】・・・痛快教師時代
教師と生徒の距離が離れ、学校の抱える問題がますます深刻になり金八先生も重い話に見えるようになる。「ごくせん」は設定があきらかに虚構で、人物も戯画化されているので暗さが
ない。
・1998年「GTO」(反町隆史)
・2003年「ヤンキー母校に帰る」(竹野内豊)
・ 05年「ごくせん」(仲間由紀恵)