失敗例が多く、出版関係者の間で長年「不毛の分野」とも呼ばれてきた中年向け男性雑誌の創刊が、このところ相次いでいる。そこには従来の大部数を目指す雑誌づくりとは大きく違う戦略がみてとれおもしろい。
中年世代というのは雑誌をあまり読まない買わない世代なので、発行部数はせいぜい数万部しか見込めないのが実状。数万部の販売収入というと、いいところ数千万円。こんな収入ではとてもとても続けられない。
そこで、雑誌の販売収入を上げるという今までの考え方から商品の購買力のある固定読者をつかんで、広告収入をがっちり確保するという考え方に変えた。
いち早く広告収入に目をつけ、流れを変えたのは、2001年創刊の「LEON
(レオン)」(主婦と生活社)という男性雑誌。岸田一郎編集長、はこれまでの男性雑誌について、「商品のブランドイメージを記事でそのまま伝えるものが多かった。読むだけで商品は買わない読者がつくだけで、広告主にとってよい反応がでなかった」と分析した。
そこで、読者の願望とはなんだろう?と、とことん考えた結果、結局「モテたい」ということなんだ!!という発想から生まれたのが実用雑誌としての「LEON」。
読者層の男性を指す「オヤジ」「ちょい」「不良 (ワル)」など独特のレオン語が誌面に躍り、商品情報や着こなし術などは「モテる」ための情報にすべて加工されている。
紹介した商品は売り上げをどんどん伸ばし、広告がどんどん入る好循環に結びついていった。
9月発売の創刊3周年記念号は厚さがなんと2センチもあり、ずしりと重い。手数料込みでざっと3億円の広告収入があったそうだ。発行約7万部で販売収入数千万円。広告収入はケタが違う。まさに狙い通り。
9月創刊の「Gentry (ジェントリー)」(アシェット婦人画報社)は「紳士」を
キーワードに正統派ファッションや車、アクセサリーなどの記事を掲載していく方針。
創刊号は7万3千部を発行と女性誌に比べれば控えめだが、雑誌の厚さでは負けていない。なぜならそれだけ広告が集まったから。広告会社の手数料を含んだ数字だが、広告収入は1億2千万円にのぼった。
これらの成功の背景には世代交代もある。80年代半ば、男性用ファンデーションや口紅が売り出されて20代にヒットした。バブル期を体験したこの世代は、今40歳前後。団塊ジュニアも30代に入ってきている。
岸田編集長は「今のオヤジは物欲文化の洗礼を受けていて、モノを買うことで自己表現したり、他人に差をつけたりすることを知っている」と説明する。
なるほどぉ〜。そうだったのか。だから「LEON」に続けとばかりに先月、扶桑社から「Straight (ストレート)」が創刊。12月には角川春樹事務所から「ランティエ」、来年2月には集英社から「UOMO(ウオモ)」の創刊が控えているのか〜。
広告収入をがっちり確保した「LEON」に次ぐ成功例が出るかどうか、とても面白くなってきた。男性雑誌が熱く注目の分野であることは間違いない。